☆ 自己紹介&著作リスト ☆

職業 児童文学作家。童話作家と呼んでくださってもOKです。
子ども向けのお話を書く作家です。
性格 学生時代の友人に「あなたって、『愛少女ポリアンナ』みたい」といわれ、弟には、「お姉ちゃんは、アニメの『星の王子さま』みたいでうっとうしい」と、暴言を吐かれた。アニメの名作劇場の主人公のような、明るくシンプルでわかりやすい性格だということなのだそうだ…。
生年月日 1月17日生まれ。山羊座。一時期はやった動物占いだと、ライオン。干支はうさぎ。血液型はA型。…でも誰も、A型とあててくれないのは少しさみしいかもしれない。
好きなもの 光り物。きらきらしたもの、透き通ったもの。お人形。骨董品。
魚や鳥や犬猫も好き。植物も好き。コーヒー紅茶。料理することも好き。香水もお化粧品も、きれいな音楽も。街をぼーっと歩いて、幸せそうにしてる人たちをみるのも好き。
人間と街がとても好き。都会と雑踏も。
嫌いなもの 全体主義的なもの。群れる人たち。悪口陰口のたぐい。
なれ合うのもおもねるのも嫌いだな。
太陽の下で、人の意見にきちんと反論できない人はかっこわるいと思う。自分の言葉に責任を持てない人には好感はもてない。いいたいこと、いうべきことは、顔を上げて、ちゃんと語るべきでしょう。
…ので、私はここでがんばろうと思っています。「風」は、錬金術的にいうと、「言葉」に関わるものだとか。ここは風の丘。私の言葉を飾って、残しておくための場所。
パソコン 初代はソーテックのe-one500A。お得な価格だったのに、頭が良くて器用でかわいい。ほんとは旧433がほしかった。ちなみにパソコン歴は、99年年末からになります。このサイトの初期の頃のファイルは、e-oneで作成したものです。いまはハードディスクが壊れてしまったので、電源落としたまま、部屋にありますが。
<追記>その後、01年3月に、原稿執筆用として、ノートパソコンThinkPad iシリーズ1620が我が家にやってきました。
そして、01年9月には、カシオペアFIVA206VLが……。
さらに、02年4月には、クリエPEG-NR70が……。
02年年末には、sigmarionII、03年はじめにはsatellite2510が。
<追記その2>03年春現在のメイン機は、LaVie Nです。そして、03年秋、satelliteが永眠した模様…。
<追記その3>04年春、執筆用にdynabookC7を購入。
<追記その4>05年夏、Zaurus SL-C750購入。
<追記その5>06年末、工人舎SA1F00Aも購入。便利です。
感じとしては、sig2に似ていて、懐かしいというか使いやすい。キーがかなりかたくて深押ししないと使えないですが、なれればなんとか。
<追記その6>08年初夏だったかな、ラヴィが永眠し、秋からはマウスコンピュータEGPN43DR80Pが我が家のメイン機になっています。白くてきれいでよいです。
また、Zaurus SL-C3200 も入手しました。勉強しながら、大事に便利に使っています。
HPの作成 開設当時、初心者だったわたしでも、なんとかHPが作れたのは、ホームページビルダー&「ホームページビルダー2001ハンドブック」(株式会社ユニゾン著)&「Myホームページを作ろう!」(技術評論社刊)のおかげかも。友人すず猫さん、さんには、数々の貴重な助言をいただきました。今もビルダー使いです。
<追記>その後、招待状をいただいてmixiにもいます。
<追記その2>新刊情報用のブログはじめました。
<追記その3>07年末から、ミクシィで童話の創作関係のコミュをはじめました。
HTMLファイルの作成とサイトの更新には、alphaEDITと、FFFTPを使わせていただいています。
執筆環境 初期は、カシオのワープロ専用機(Darwin CX-100)を使っていましたが、2001年3月から、IBMのノートパソコンThinkPad iシリーズ1620を使うようになりました。ソフトは一太郎11です。こうして世の中は移り変わっていくんでしょうか…。本当をいうと、ワープロにはまだ未練があります。
で、ワープロへの思いの故というか、その後、カシオのパソコンFIVA206VL)を買ってしまいました。
<追記>03年春現在、東芝satellite2510で物語を書いています。さらに追記。03年秋現在、LaVie N+一太郎13
<追記その2>04年春からは、ダイナC7+一太郎2004です。でも、機械を切り替える時間もなく、ラヴィで書いていることも多々。
<追記その3>06年末から、工人舎SA1F00Aでも執筆。いまは外では大体これで書いてますね。通信も楽だし。FIVAも現役。
<追記その4>08年夏からは、マウスコンピュータ製のノートでも執筆しています。あいかわらず、ソフトは一太郎とATOK。
携帯 iモード以前から、ドコモのをずっと使い続けています。電池のもちはいいし、適度な早さで動くし、地味に堅実にいいと思います。
03年春現在、メインで使っているのは、FOMA F2051
デュアルでF212i。J-PHONEの、D06 グラフィカも持っています。
<追記>04年2月からは、F900iを使用中。
05年2月からは、F901iCを使っています。デュアルでD253iWM
06年夏からは、F902iSとD253iWM。vodafone 905SHも使ってます。ああいまは、softbankモバイルなんでした。
アクオスケータイは賢い携帯ですが、小さなテレビとしても便利です^^ 台風のとき助かりました(涙)。懐中電灯みたいにライトもつくし。
07年冬からは、F905iユーザーです。
趣味 園芸読書。猫と遊ぶ。お化粧に香水。お買い物。料理。無駄に歩くテレビ&パソコンゲーム旅行
<追記>でもこのごろ忙しくて遊んでいません…。かなり悲しい。
<追記その2>03年秋から、いきなりボークスの球体関節人形SD(スーパードルフィー)にはまってしまいました…。
<追記その3>06年秋から、ブライスにはまりそうな予感が…
<追記その4>やはりはまりました。いつか、ヴィンテージの子を、どこかからお迎えしても、責めないでください…(遠い目)。
<追記その5>…すみれさんといいます。
<追記その6>そして一番新しい「好きなもの」はクレジットカードAMEXJCBの金と、DoCoMoセゾンVISAのホルダーです。
電子マネーとお財布ケータイもとても好きだなあ。
カードにしても、電子マネーにしても、携帯電話でお金の管理が出来るので、安心で安全です。ていうかお金の管理に興味がなかった私が初めて、金銭管理について考えるようになった、という現実が。
<追記その7>JALビューSuicaゲット。AMEXはプラチナに変更。
今後は、ANAカードを作って、Jをクラスにしたいなあ。
所持カードのラインナップで、その人のライフスタイルがわかるような気がする、今日この頃。
私は思いきり、旅人仕様ですね。たぶん今後も。
好きな本 浅田次郎著「蒼穹の昴」(上下巻。講談社刊)。今までに読んできた本の中で、一番、おもしろかった。好きだった。児童書は好きな本がありすぎて、どれが一番好きかとはいえないけど、影響を受けた本ということで、とくに、書名をあげさせてもらうなら、日本の本では、「宿題ひきうけ株式会社」(古田足日著・理論社刊)。海外の本では、「ナルニア国物語」(C・S・ルイス著・岩波書店)。
名前 電脳世界では、chayka、あるいは森の猫という名前を使っています。chaykaはチャイカと読みます。ロシア語のかもめの英語綴り。「私はかもめ」が元ネタです。自由にwwwの波に乗るかもめ。

 *著作リスト*

「ふしぎ探偵レミ3〜なぞの少年とコスモスの恋」
(ポプラポケット文庫)で、
著書53冊になりました。
また、おとなの読者さま向けの本として、ジャイブピュアフル文庫から、
「コンビニたそがれ堂」が、出版されました。

読者のみなさま、お世話になったみなさま、ありがとうございます。
これからもよい本が書けるように、がんばります。

幼年向け

ちいさいえりちゃん 飯野和好画 あかね書房刊

(93年3月刊)

村山一冊目の本。妹に生まれた女の子が、なんとかお姉ちゃんと
呼ばれようとして、がんばる話。猫だの魔女だのうさぎだのに
アドヴァイスを受けるんだけど、うまくいかない…。

この「えりちゃん」は生まれて初めて書いた幼年童話でした。
実は私は、小さい頃、幼年童話を読んでいなかったので、
書き方がわからなかったのでした。(今でも正直、苦手です)。
それで、寺村輝夫先生の「童話の書き方」を拝読して、参考にして
書きました。寺村先生のその本は、論理的に
幼年童話の書き方が綴られている本で、
理屈っぽい向きにはお勧めです。

なぞなぞあみちゃん 緒方直青画 佼成出版社刊

(95年4月刊)

幼年童話が苦手なわたしに
久しぶりにきた幼年ものの依頼でした。
なぞなぞが好きな女の子とお母さんの、
ちょっとおセンチなお話ですが、こういうのも好きです。
サブキャラのしゃべるアライグマのリュックが書いてて
楽しかった。ルルーシリーズのペルタの原型かもしれません。


いっしょなの 森友典子画 佼成出版社刊

(04年8月刊)

上述のように、幼年童話が苦手だった私ですが、
姪が生まれてきてから、小さい子の言動や、不思議ワールドを観察する
機会に恵まれまして、ようやっと、「幼年書いてみたいなあ」などと
思うようになっていました。
そんなときに、「一年生の子ども向けの本を」とご依頼が。
すぐに思いついて、電話でストーリーをお話しして、
すごく担当の方に気に入っていただけて、そして、するすると本になった…
これはそういう本でした。

一年生の女の子を見守るお人形とぬいぐるみの話です。
見守るだけじゃ物足りなくて、ランドセルに入って、
学校までついて行ってしまうのです。
一種のつくも神というか、妖怪というか、そんなのの話でもあります。
お人形たちが、どんなに女の子を好きで、幸せを祈っても、
女の子にはそれはわかりません。
でもそれでも、お人形たちは、女の子を愛し続ける。
何よりも大切な存在だから。
そんなふうな、包み込むような、自然な思いを書きたかったのです。

このお話の挿絵が森友先生なのは、ご依頼の時点で、私が担当の方に
お願いしたのですが、正解だったと思っています。
子どもの本が好きな方には、挿絵はもっと「子どもの本らしい絵」である
ことを望まれる方も多く、そういうお気持ちもわかるのですが、でも、
このお話には、元アニメーターの森友さんがあっていたと、
私は思います。
お人形のアクションと、くるくるとよく変わる表情にご注目下さい(^-^)

中学年(以上)向け

風の丘のルルーシリーズ1〜 ふりやかよこ画 ポプラ社刊
(親本はハードカバーですが、ポプラポケット文庫でも一部刊行されています)。

(99年1月から刊行。現在七巻まで。まだシリーズは続きます)

名作アニメプラス「ブラックジャック」とでもいいましょうか。
アンデルセンだとか「ポーの一族」だとか、魔女ものの少女漫画に
魔女っ子アニメに、といろんなものに影響を受けつつ、
仕上がりはなぜか、
「岩波の翻訳児童文学みたい」(スタート時の担当編集者さま談)
という謎の児童文学作品。
どんなに重いけがや病気でも治すことのできる魔女の子が、
しゃべるクマのぬいぐるみと、丘の上の一軒家で暮らして
おりまして、彼女と様々な患者さんとの人間模様のドラマが
あるわけです。けっこうシビアで苦いエピソードが多いです。
(そもそも毎回病人やけが人や死人が登場してくるわけですから…)
ふりや先生に描いていただいている絵がすごくきれいなのですが、一見、童話風な
かわいい絵なので、大人読者さんが読んだあと、「表紙にだまされた。
もっとかわいい話だと思ってた」と、おっしゃることが多いです…。

ハイファンタジーではなく、過去の、北欧あたりを中心とした世界が
舞台となっております。ルルーは魔女で、十年に一つしか
年をとらないらしいので、今もあのへんにいくとあえるかもしれません。
3巻まででルルーのアイデンティティ確立編は終わり。
00年7月発売の4巻からは、聖魔女編がスタートしました。

そういうわけで、ルルーシリーズも、はや第七巻です。<以下04年11月記す
以前に、「全十巻くらいにしましょうか」という話を、ポプラ社さんと
していたのですが、今は、「十五巻くらいでいいかもねえ」ということに
なりつつあります。すべては、読者のみなさまのご支持次第…
場合によっては、もっとのびるかも。
ちなみに次の巻のお話は、もう大体決まっていて、「砂漠に眠る
最後の竜」との出逢いの話になるはずです。魔女のルルーと最後の竜。

このあと、ルルーは少しずつ、年を取って行き、時代は現代に近づいていって、
(ちょっと時代の進み方の速度が速すぎるんですが、そのへんはご容赦下さい)、
風の丘の人の住まなかった村にも、また人が住むようになります。
辺境の丘には、また幸せそうな人の声が聞こえるようになり、
ルルーは、世界をめぐることによって、失われた知識を入手し、
魔女として、立派に育ってゆくのですが…

「もうひとりのルルー」というべき存在の少女との出逢いや、
天空の都市の伝説、聖なる魔女ルーリアのお話等々が、
今後の展開にからんできます。お楽しみに。
そして、すでに考えてあるラストシーンにゆくわけですが、
そこを書くのは、いつになるのかなあ…
ひとり丘にたたずむ風の少女サラが、空を見上げて終わるはずです。

シェーラひめのぼうけんシリーズ全十巻 佐竹美保画 童心社フォア文庫

(97年4月から刊行)

アラビアンナイトの世界を舞台に、
怪力で素直すぎるお姫様シェーラと、おさななじみの
気弱な少年魔法使いファリード、
元少年どろぼう団のリーダーで、実は出生の
秘密があるハイルの三人が、
魔法の絨毯にのって旅する話です。

とりあえず、10巻で、第一部が完結いたしました。
2003年からスタートの第二部は、第一部の主人公たちの
子ども世代のキャラクターの話になります。


主人公の名前は、「千夜一夜物語」のシェーラザードから
つけましたが、同時に(タイトルからみてもわかるように)
昔々のとあるテレビアニメへの愛のあかしでもあります。
わたしと同世代の人たちにはわかるかもしれない。


新シェーラひめのぼうけんシリーズ全十巻 佐竹美保画 童心社フォア文庫

(03年3月刊行)

前シリーズの主人公、シェーラとファリードのあいだに生まれた
双子の王女様、そして小さな魔神の冒険の物語です。
前のシリーズで登場したキャラクターたちにくわえて、
新しいキャラクターと、新しい設定がいろいろと増えているのです。
1巻では、まだ登場していませんが、この先出てくる、
ハイルとミリアムのあいだに生まれた王子二人や、サウードの養女、
謎の白馬の王子様&究極の執事の登場をお楽しみに♪
(とくに白馬の王子様は、作者一押しです…絶対に、笑えるから)。

私は、笑えるシーンがある子どもの本が好きです。
たぶんそれは、子どものころ、小林信彦の「オヨヨ」シリーズが大好きだったから
だと思います。内容はもうほとんど忘れてしまったのですが、声を出して笑えたことと、
センスの良いパロディがたくさん出ていたことはおぼえているのです。
「シェーラ」や他の本を書きながら、読者の子どもたちが、
いっぱい笑ってくれるといいなあ、と思っています。




そういうわけで、2巻が刊行されました(03年9月)。
海辺の王国の、ハイルとミリアムのあいだに生まれた王子様兄弟が
メインの話です。それと、謎のイタチと♪

ハイル一家のホームドラマは、かいてて楽しかったです。
そういえば、ミリアムが錬金鍋で、薬を作っているところに
ハイルが飛び込んでくるシーンあたりは、
アメリカのテレビドラマみたいだな、と思って書いてました(笑)。
読みながら、笑い声と拍手の効果音を思い浮かべてください。
とかいって(笑)。

毎度、シェーラシリーズは、90枚という劇的に少ない枚数で
書いているので、いかに文章を削るかで苦悩します。
今回、いれられなかった文章があって、それは、
「子どもの頃のハイルは歯が光っていなかったのに、
大人になったハイルはどうして歯が光るのか?」
という事柄についての理由付けなんですけど…。
ここに書くのもいいですが、みなさん想像してみてください(笑)。


そして04年春に、めでたく三巻が発売されたわけですが…。
今回のポイントの一つは、「子どもにもわかるパロディへの挑戦」だったり
します(笑)。しかしこれがなかなか、子どもの誰もが知ってる原典って少なくて。
たぶん、うまくいってると思うんですが、どうでしょう?
とある名作の作品名が出てくるところで、子どもたちがうけてくれたかどうか、
ちょっと気になるところです。

また、その名作童話は、子どもの頃の私が読んで、
「こんな悲しい話にしなくたって良かったのに…」と、めげた作品です。
小学二年生の時でした。
もちろん、いい話だと思うし、自分が作家になった今では、
構成の建て方といい、テーマといい、すごさがわかります。
でも…だけど、なのです。

おとなになった今、その作品をハッピーエンドにしたようなお話を書けて
よかったと思っています(^-^)
あー、なんかすっきりしたあ(笑)。


その後、折り返し地点の四巻、五巻、とお話が進んでいますが…
ちょっとずつ、世界の謎の全貌が、かいま見えてきている…はず。
これからあとは、お話は収束に向かってゆく予定です。
新シェーラは、子どもたちと飛行船を描くのが、とても楽しいです。
毎度、オープニングで錬金飛行船の飛ぶ描写が入るのですが、
そこを描いているのが、地味に好きなんですよ(^-^)


 05年秋に、六巻が刊行されました。
全巻から登場している、魔法使いサウードおじさまvが、なかなか
素敵で、書いていて楽しいです。
第一部でも、「本人はまじめなのに、どうしてこうギャグになってしまうのだ」系な
キャラクターでしたが、今回はその演出がさらに派手にできそうで(笑)。

「子どもたちといっしょにいるおとな」というシチュエーションが好きです。
たとえば「十五少年漂流記」の終わりの方が、そんなではなかったでしょうか?
アニメだと「不思議の海のナディア」とか。
あくまでも、メインの冒険をするのは、子どもたちなのだけれど、
おとなとしてそこにいて、子どもたちを守りつつ(束縛するのではなく)、
ともに仲間として戦う存在。

昔、自分が子どもや、子どもに近い年令だった頃は、
たぶん、自分自身も、見上げるような気持ちで、想像していたおとなキャラたち
ですが、今の私は、サウードたちの心にも、自然とよりそって書いて
いるのでした。どうしても、自分のいいたいことをいわせてしまいがちになる。
…で、そんなふうに書いているサウードたちが、「理想的なおとな像」になったら
まずいよなあ、と危惧していたんですが、けっこう、子ども読者たちにも
彼は受けがよいようなので、ちょっとほっとしています^^


 06年春に、七巻「天のオルゴール」が刊行されました。
この作品については…
語るよりも、読んでいただきたいような、なんていうか、純文学で。
今回明らかになる、チニの正体を通して、新シェーラの世界の、
世界像というか、「これはなんの物語だったのか」ということが、
たぶん、わかっていただけるかな、と思います。

デビュー作から、いやそれ以前の、新人賞向けの原稿やら、
同人誌向けの漫画を描いていた頃から、
私はずっと、同じテーマを、ぐるぐるぐるぐる、書いていたような気がします。
一生かけて、書き上げなければいけない、大作の論文。
書きながら、自分のささやかな人生や、読んできた本、知ってきた世界の
歴史や、思想や出来事などなどを、記憶の片隅から拾い上げ、
並べ、見比べて、考えて悩んで。思いをめぐらせて。
自分が書く物語を通して、拙いながらも思想にまとめ、換えていく作業。
それが私にとっての、「お話を書く」という行為です。

もっともできあがった作品は、「論文」ではなく、「お話」であり、
「読み物」であり、「子どもの本」なのですけれどね。
思想を語るために、お話を書いているわけでもなくて、
それはあくまで、自分の楽しみというか、内緒の課題なので。

ぐるぐると。天のオルゴールは音楽を奏でます。
それはくり返すひとの命の物語。
死んでは生まれ、倒れては次の世代が、また立ち上がり、
歩き出しながら、作り上げてゆく歴史の物語。
ひとは無知であるときに罪を犯し、知っていてもまた罪を犯し。
自分の業に悩み、過去の痛みに呻吟しながら、地を這い、
でも、空に憧れて、傷つきながら、ささやかに他者の幸せを祈るのです。
誰もその祈りをきかなくても、ひとりひざまずいてほほえむのです。


八巻「伝説への旅」、九巻「死をうたう少年」については…
これは担当編集者H氏が、「同じテーマの裏と表だと思うんですよね」と、
語ってくださったとおりというか。

生きるということは、死と向き合うということだと思います。
生は華やかで、美しい喜びの多いものですが、
無限のものではない。ある意味、誰かから与えられた、
生涯自分のものであり得ない、高価な宝物だと思うのです。
あるいは、使い尽くせないと思えるほどの、財宝というのでしょうか。
それを、抱きかかえ、みつめたまま終わるのも生、
財宝を手にして、どこかに旅立つのも、
財宝を他の誰かを幸せにするために生かすのも、
それもまた生だと思います。
いつかは尽きる宝物。ひとりにひとつの宝物。
それをみがきあげるのも、くすんだものに変えてしまうのも、
持ち主の心一つだと思います。

前略、おかげさまでシリーズ完結いたしました。
旧シェーラからおつきあいいただいた方々には、
実に十年にわたる、長い旅となりました。

完結後、読者さまからの長いお便りを、何通もいただきました。
掲示板に書きこみもいただきました。
感想の一つ一つを、佐竹先生と担当の方と、私とで、
感謝しながら、大切に拝読させていただいています。
十年というと、読者のみなさまにも、同じく長い年月。
描かれているみなさまの半生や、読書の思い出に、
感動とともに、どきどきと切なさと、恐れ多さと、
そしてやはり、大きな感謝の想いを抱きました。
人生のうちの中の長い時間を、シェーラたちの冒険とともに過ごして
いただけましたこと、感謝いたします。

思えば、私たち本を作る側の人間も、読者のみなさまも、
あのおひめさまたちと一緒に、長い旅をしてきたのだな、と
思います。「アラビア風味でいく砂漠の旅ツアー」といった
感じでしょうか。添乗員と語りは私で(笑)。
長旅、お疲れ様でした(^-^*)
いい旅でしたね。

シェーラシリーズ全体を通してふりかえると…
もちろん、よい思い出が多いですし、できあがった作品には
満足しているのですが、と前置きした上で…
とにかく年に二回の〆切がくるのが早くて辛かったのと、
短すぎる枚数制限が、厳しかったですね(笑)。

あと、漢字が使えないのが厳しかった。
私は、基本的に、閉じ開きにはこだわりがない作家なのですが、
少ない字数の中で、漢字を使えるのと使えないのとでは、
制限が全然違ってくるわけでして^^;
たとえば本当は、「シェーラひめのぼうけん」ではなく、
「シェーラ姫の冒険」で、私は活字にしたかったんです。
…ほら、三文字も違う(笑)。

あ、そういえば。裏話(笑)。これ書いたことなかったような。
一番最初、魔神ライラのキャラクターは、もっと華奢でかわいい
少女でした。新シェーラのサファイヤみたいな感じで。
ひらひらのドレスを着て、きらきらしていました。
本になる前、そういうラフが来て、「わあかわいい」とか
喜んでいたんですが…
できあがった本を見たら、なんかこう当初よりもたくましい
魔神ライラさんがそこにいたのでした(笑)。
どこでどう変化したのか、私は今も知りません(笑)。
今のライラも好きですが、華奢なライラも惜しかった^^;

ところで、最終刊。
私が最初に書き上げた枚数は、もっと長かったのを、
本にするときに、がしがし削ってます。
あと、描きたかったのに描けなかったシーンとかもあります。
…じきにこっそり、完成版をサイトに置くかもしれません。
ディレクターズカット版、といいますか^^;
ただ、それは、本当にいつになるかわからないことで、
置くとしたら、こそっとコンテンツが増えている、くらいな
感じになると思います。
(童心社さんにやはり、悪いですからね…)。

人魚亭夢物語 森友典子画 小峰書店刊

(99年8月刊)

風早街シリーズ。小学校4年生の弥子が経験したふしぎな春。
引退した怪盗と、中世の隠し財宝と、前世の約束。
竜宮からやってきた、不死の姫君…。
かなり突き放した書き方(説明していない)になっているので、
少しだけ、不親切な本になっているかもしれません。
中級向けででていますが、じつはわりと大人向けだと思います。

ちなみに挿し絵の森友さんは、元スタジオジブリで原画を
描いていた方です(「ラピュタ」のシータが空から落ちてくる
シーンとかの原画とか)。わたしは森友さんが、日本アニメーション
で、「牧場の少女カトリ」の作画監督をやっていたときからの
ファンなので、今いっしょに仕事をしていただけて、ほんとうにうれしい。
森友さんもわたしの本をとても気に入ってくださっているので、
これからずうっと、いっしょにお仕事をすると思います。

百年目の秘密 中窯浩一郎画 あかね書房刊

(94年3月刊)

風早街シリーズ。ライトノベルス作家の息子の潤くんが
ある夏に知った父親たちの過去の物語。
美少女の幽霊と妖精と、百年目の予言が成就する話。
一時入手不可能になっていましたけれど、また売っているらしいです。

わたしの二冊目の本で、つまりもうだいぶ古い本なのですが、図書館に多くあるせいか、
今も感想の手紙をたまにいただきます。ありがたいことです。

幽霊などなどでてきますが、わたしのなかでは、リアリズムものとして分類されています。
ちなみに、潤君は、大学生に成長した姿で、「人魚亭夢物語」にも登場しています。

挿絵の中窯先生は、2004年、事故で永眠されました…。
素晴らしい絵を描いてくださったこと、心から感謝いたします。

七日間のスノウ 森友典子画 佼成出版社刊

(99年10月刊)

これも風早街シリーズ。主人公が猫を育てた家は、「百年目」の蔦野家の
屋敷かもしれません…。

私は、佼成出版社さんから「死を通して命の大切さを書いてください」
というご依頼をいただいてすぐに、生後一日の赤ちゃん猫を拾いました。
こりゃありがたいと、いろいろメモしながら育てたりして…。
挿し絵の森友さんも猫好きで赤ちゃん猫育ての経験があったので、
猫の顔がすごくリアルで、どきっとします。
モデルになった猫は、もうずいぶんと大きくなりました。
声を大にしていいたいです。猫は捨てないでください。犬もうさぎもフェレットも。

ところで。物語の中にでてくる、珈琲沸かし器についていたという設定の
アルコールランプですが、これ、実物を見ないと絵が描けない(最低写真が必要)
森友さんが、「持ってない。近くにもない。描けない」と電話でおっしゃるので、
「うちに古いのがあるから、送りましょうか?」と、いったら、
「それだったら、村山さん、スケッチしておくって」というので、悩みながら描きました。
その後も、森友さんと組んでお仕事するときは、落書きをみてもらいながら
説明したり、そういうことが多いです。森友さん、のせるのが上手な方で^^;


アカネヒメ物語全五巻 森友典子画 岩崎書店
(二巻以降は、装丁を、はけたれいこさんが担当)

(01年4月〜)

赤い桜の花の神様、アカネヒメはまだ若いので、見た目は子ども。
大した魔法はつかえないし、よりしろの樹を離れることもできません。
でも、そんな彼女も、「仙人眼の子ども」はるひの助けを借りれば、
街のどこへでも自由に行けるようになるのでした。
ちょっと生意気で世間知らずで、でもピュアな神様と、
素直で子犬みたいな自転車少女の友情物語。
心温まる不思議なメルヘンです(という路線をめざすはず)。
<追記>気がつくと微妙に社会派ファンタジー路線になっていました。
まあ、それもありかと。

☆ちなみに、アカネヒメは、風早街の土地の神様、
神様の格としては、「やまんば娘」に登場したしだれ桜と同じだけど、
年がまだ若いわけですね。でもいずれ、しだれ桜の跡を継いで、
風早の街全体の守護精霊になるのかも知れません。
ちなみに、山の神の娘由布ちゃんや、竜神の真波さん(「人魚亭」)よりも、
位は下になるので、あえば彼女たちに敬語とか使うんでしょうね。
アカネヒメがほかの人(神様)にへりくだるところは想像できにくいけど。
そうそう。アカネヒメ、最初は自分のことを「わらわ」と呼ぶように書いていた
のです。でもそれだと、もろに「おじゃる丸」テイストが入ってしまったので、
いまのおじょうさまな感じに変えたのでありました。


☆はるひの家のパパは、コンピュータ関係の仕事をしています。
2巻で、「社員一同とその家族で、クリスマスパーティーをする会社だ」という設定が
登場したわけですが、これは、クリスマスイブの夜に、はるひだけを
家で留守番させるための、苦肉の策の設定でした…。
でもありえないことじゃないと思うんですよね。こういう会社もありそうです。

今の日本では、クリスマスというと、家で家族で(恋人とというのもありか)
祝うものですが、昭和の四十年代くらいまでは、会社で男同士祝っていた時代が
あったのです(少なくとも私の記憶の中にはある)。

はるひのパパの会社は、中小企業ですが、戦後すぐに復員してきた、
機械が大好きな若者二人が興した会社でして、今は
家電品を中心に、コンピュータ関係の部品もいろいろと
作っている会社、という設定になっています。
(でもたぶん、いつかはパソコン丸ごと作りたいんだろうなあ…。
でもって、目標はソニーとかなんだろうなあ…。)
「七日間のスノウ」のパパも実は、同じ会社に営業でいたりしてね。

会社を興した人々は、「アメリカでは会社が社員の家族集めてパーティーをやるらしい」
なんてのを、どこかできいて、素敵な習慣だ、と思ったんでしょうね。
昭和四十年代、少し余裕ができてきた頃から、忘年会兼のクリスマス会が始まって、そうして、
今に至る、という感じなのでしょう。
その間に時代は変わり、クリスマスは家庭で祝うものということになってきたけれど、
はるひのパパの会社の人々は、「ま、うちの会社はそういうものだから」と
いうことで、家族一同あきらめて…もとい、楽しみにパーティーに参加するのでしょう。
(きっと、家族や友人恋人とのクリスマスは別にやるんだろうなあ。
どうしても嫌で、さぼっちゃう人もいるんだろうなあ。で、翌日社長の目が冷たいの)。


そんなこんなで、シリーズが完結したアカネヒメです。
今こうしてふりかえってみると、ほんとにタイムリーに、その都度いいたいことが
書けた話だったなあ、と。
その分、悲惨な事件の多い時期に書いたお話だともいえますが。

私は昭和の三十年代終わりの生まれなのですが、
ふつうに反戦平和を訴える空気の中で育ってきました。
朝のテレビ小説で、広島の孤児がヒロインになるような時代に育ちました。
漫画といえば、「はだしのゲン」に「疎開っ子てまり歌」です。
児童書ならば、「猫は生きている」に「一つの花」の世代です。
若い時代には「きけ、わだつみの声」を読み返したり
東京大空襲や原爆の被害の記録を読んだりした世代なわけで。
岩波ブックレットや中公新書、講談社現代新書あたりで歴史を学び、
太平洋戦争で死んでいった、内外の人たちの記録を読みながら、
「二度とこんな生命を大事にしない時代にしてはいけない」と、
ひとりうなずいた世代だったわけです。
とにかく戦争には反対しようと。戦争さえなければ、人は死なないのだからと。

まさか、自分がおとなになった世界が、こんなふうに、
「日常の中で人が死んでゆく」時代になるとは思ってもいませんでした。
戦時中じゃなくても、戦地じゃなくても、人が死ぬ時代がくるとは。

私は身近で、家族や猫を亡くしています。幸いというか、普通に病死です。
それでも、本当に、哀しかった。
一つの生命の重さと儚さを思うとき、
あのNYのテロの悲惨さがどうしようもなく胸に迫ってくるのでした。
五巻の「なぜ人は人を殺すのですか」というアカネヒメの言葉は、
そのまま私の言葉でもあります。

私がアカネヒメを書いたとて、世の中が変わるわけでもないですが、
でも、これを読んだ子どもたちの心の中に、
自分や他人の生命を何よりも大切にしなくては、という想いが
なんとなくでも残っていって、
それが未来、どこかで誰かの生命を守ることになるのなら…
私はこのお話を書いてよかったと思います。

高学年向け

魔法少女マリリンシリーズ1〜4 佐竹美保画 教育画劇刊

(95年8月から刊行。まだシリーズは続きます
最新刊は、第四巻「妖精の森へ」(02年11月刊)

ハイファンタジーです。伝説の都アルシャンを舞台に、
冒険者見習いの少女マリリン・マリルーンが、
仲間たちとともに、ぼうけんを繰り広げます。
図書館で読まれているらしいというレポートを、
以前、ファンの方が書いてくれました(ありがとう、遠野さん)。
たしかに、「図書館で読みました」というファンレターが
多い本ですね。図書館に似合うのかもしれない。

実はこれは、昔、友だちとやった、いいかげんなTRPGで
作ったキャラクターが主人公の元になっています。
でまあ。他のキャラクターのネーミングも、あんまり
統一してないというか、TRPGふうに、ごちゃごちゃしてるんです。
挿し絵の佐竹さんは、佐竹さんがSF小説の挿し絵を
描いていたころから好きな画家さんだったので、
いっしょにお仕事できて、光栄でした。

第3巻のラストで、意外な展開をしています。
これは実は、当初から予定されていたものなのです。
マリリン・マリルーンがどういう風な大人になるかは、すでにわたしの頭の中
にはあるのですが、はたして物語が完結するのはいつの日か?
一応、全5巻のつもりではあるのですけれどね。予定としては、ですね。
完結したあと、運が良ければ番外編を二作(マリリンのおばあちゃんの話と、
十五、六歳になったマリリンの冒険の話)書きたいものですが…。

しかし、感慨にふけるのは、わたしが新人作家として、マリリンの1巻を
書き始めたとき、まだ日本には、ファンタジーブームのようなものはなかったということ
です。ただ、「ドラクエ」などのテレビゲームがはやっていたので、エルフやら
各種魔法やら怪物やらの説明がしやすいなあ、と…それくらいの感じでした。
だけど、気がつくと、日本の児童書には、長編ファンタジーのブームが
始まっていて、「書きたい」といえば書ける雰囲気になっていて…

ファンタジー系の冒険ものが書きたいわたしにとっては、夢のような現実世界に
いつのまにか…なっていたのでした。

<追記>そして、4巻が刊行された2002年。ちまたでは、ハリーポッターが
大ブーム…。児童書のファンタジー作品が日本でベストセラーになるなんて、
誰が予言できたでしょうか? 絶対に、誰も無理だったはず…。

はるかな空の東 村山早紀画 小峰書店刊

(97年1月刊)

剣と魔法の物語。
予言と占いで定められた運命から逃げることなく、
みずからの手でよりよいものにかえていこうとする
人々の物語。

歌とフルートが上手な主人公の少女が、
自分のもつ宿命と向かい合い、その人生を生きる物語です。
小さい頃の記憶がない彼女は、実は異世界のお姫様なわけですが、
けっして、その人生は安楽で安泰なものではありません。
守ってくれるひとびとはいるけれど、守りたい場所もあるけれど、
彼女が予言の歌姫として、これから旅して行く道は、
血と泥に汚れ、痛みに満ちた荒野の道です。
でもそれでも、あえてその道を進んで選ばないといけない子ども。
選ぶことによって、遠い未来に幸せが待っていると、
そう信じ夢見ている子ども。それが主人公の少女ナルです。

ファンレターがいっぱい来る作品ベストワン(当社比)。
多視点で書くことの楽しさをしみじみと感じた本。
視点キャラクターがそれぞれみんな人気があるのは
おもしろい(ファンレターから分析するとそうなのだ)し、
ありがたいことです。
でてから十数年にもなるのに、感想のお手紙をいまもいただきます。
ほそぼそとだけど、売れてもいる。毎年、増刷になっています。
本当に、ありがたいことです。読者のみなさま、ありがとう。

実は、隠れ風早街シリーズだったりします…。
続きの話の設定も、予定もあるのですが、描く時間がありません…。

でも、二巻以降の展開を考えると(脳内ではできあがっていますので)、
このあとなかなかの鬱な展開を一通りたどらないといけないので、
ナルやハヤミさんにとっては、一巻で終わった方が幸せな話かも
しれないですねえ。…いやどうなんだろう? 
最終的には、壮大なハッピーエンドになる予定の話ではあります。
一巻ではまだ出てきていないメインキャラクターがたくさんいるし。
これから先が、ちゃんとした冒険ファンタジーなのかもしれない。

二巻は、これはもしかくとしたらの話ですが、トオヤがメインの物語。
三巻は、元の世界にいるナルの友人が、ナルの世界を訪れる話です。
…でも、各五百枚超えくらいの話になるだろうから、いつかけるかなあ。


 砂漠の歌姫 森友典子画 偕成社刊

(06年12月刊)

その、上記の本の、姉妹編のようなお話です。
ナルたちが住んでいる大陸とは海をはさんで反対側にある大陸を舞台に
くりひろげられるお話で、そういうわけで、剣と魔法と吟遊詩人です。
物語の中の歴史としては、「はるかな空の東」から五〜七年後くらい
という設定で書いていたような記憶があります。
「記憶がある」という書き方になるのは、なにしろこの原稿は、完成したのが
かなり前だったからで^^;
こんなふうに、時として、物語というものは、
かきあげてから書店さんにならぶまで、長い時間がたつことがあります。
誰が悪いわけでも、もちろん運が悪いわけでもなく、
活字になるまでには、時の巡り合わせというものが存在するのです。
物語は自ら、誕生する時を選ぶような気がします。

「はるそら」とあわせた裏話を書きますと、
実は、過去の時代に死んだ王は、「銀の紋章」の持ち主で、
同じ紋章は、最後、からくりの王の胸元にありました。
それは、ユンがうけつぎますが、彼女は紋章の由来を知りません。
「銀の紋章」の行方を捜す、成長後のナル・クリスタライアが、
ユンとであう物語、というのが、一応あるんですが(作者の脳内には)、
果たしてその物語はかかれるかどうか不明です…。
(なにしろ作者に時間がなくなってしまっていて。誰か私に、
もっとたくさん、物語をかく時間をください…)。

さて、紋章は、もうひとつ、アストリンデの魔法使いがもっているのが
あるんですが…
お話に出てきていませんが、実は、イザさんがいっこもってます。
でも、イザさんは、自分の母親の形見の紋章を、意味を知らずに
もっているだけだし、彼女は歌い手ではないので、
紋章は、目をさましていなくて、力を持っていません。
魔法の紋章は、たまにそんなふうに、「次の持ち主」に移動する
までのあいだを、過ごすこともあります。

のちに、その紋章を持つキャラクターは、アストリンデの魔術師の
中にいる、魔法使いで歌姫の女の子です。
イザさんが国を離れるとき、イザさんから形見に紋章をもらいます。
イザさんは、最後まで、紋章の意味を知らないまま、になります。

その女の子は、「砂漠の歌姫」のラストのシーンにいるはずなんですが、
本になったあのお話では、名前さえでてきてないですね。
いっしょに飛び船にのってお迎えに来ている魔術師の中に
いるんですね。その他大勢になっちゃって、描写すらないんですが。
(彼女は、最初はでてきていたんですが、キャラクターの数が多すぎたので、
削っちゃったんですね。主役級のキャラクターのひとりだったので、
担当さんに、「あの子削ったの?」と驚かれたのを覚えてますが、
偕成社Bさんは、そんなやりとり覚えてらっしゃるかなあ。懐かしい)。
削ったといえば、ユンのクラスメートで、もうひとり、お金持ちの
女の子で、素直じゃない勝ち気な女の子っていうのもいたけど、
やっぱり削ったのでした。
…う、いま思うと、もったいなかったかも^^;

でも、私が、「砂漠の歌姫」の最初の原稿を書いていた時代は、
日本の児童文学に、長編ファンタジーなんて、そうそうなかった時代。
厚い本をだしても、書店さんにおいてもらえるかどうか、とか、
いわれていた時代でした。おまけに私は新人作家でした。
担当さんに遠慮して、遠慮しながら、古いワープロ専用機と向かい合い、
長くなってゆく物語を感熱紙に打ち出しながら、綴っていた日々を、
いまの私は、懐かしく想い出します。

…いやほんとに、児童文学で、ファンタジーで、何百枚かいてもいいとか、
何巻のシリーズになっても良いとか、むしろ長くしてくださいとか、
そんな天国のようなこといわれる時代が来るなんて、ほんとそんなこと、
考えられない時代があったんですよ。

やまんば娘、街へゆく 鬼藤あかね画 理論社刊

(94年4月刊)

風早街シリーズ。やまんばと人間の間に生まれた
少女由布は、行方不明の父親を捜しに、
妙音岳から舞い降りて、足下の風早街へゆきます。
空が飛べるし怪力だし、へんなものたちと
会話もできる由布が、古いアパート「海馬亭」の
住人たちとふれあうことによって知る、
人の温かさと、はかなさと、強さ。
これを書いたころ、私はスーパーファミコン(ゲーム機)にとりつかれて
いたので、物語中で、あるキャラクターに、当時の代表的なゲームのひとつ、
FFのテーマ曲をピアノで弾かせたりしています。
削ってしまいましたが、原稿の段階では、同じスクウェアのゲーム、
「ロマンシング・サガ」についての論考とかまでも、
入っておりました。…若かったんです。許してください。
物語中にゲームデザイナーの女性が登場していますが、
彼女にはモデルさんがいます。ゲームがらみのシーンは全面的に
彼女に教えてもらって書きました。お友だちのすず猫さんです。

挿し絵の鬼藤先生は、直接お会いする機会もない
ままに、若くしてお亡くなりになってしまいました。
とても、悲しく、残念で、惜しいことでした。

ささやかな魔法の物語〜カフェかもめ亭〜 朝倉めぐみ画 ポプラ社刊 

(01年12月刊)

喫茶店かもめ亭では、今日も若き女店主が、お茶やコーヒーをいれています。
訪れる人々のささやかな幸せを願いながら…。
海風が吹き、空をかもめが舞う港町の喫茶店で語られる、いろんなお客さんたちの物語。
ちょっと大人向けの、連作短編集です。

当然のように、風早街シリーズです。
というか、この本のラストに入っている、「かもめ亭奇談」は、実に、十年以上も前に
一度、書き上げていて、日本児童文学の創作コンクールに投稿した作品です。
当時、当然デビュー前だったのですが、岩崎京子先生にたいそうほめていただけた
思い出の作品です。つまり、初期に書かれていた風早ものだということです。
もっとも、当時のタイトルは、「人魚亭綺譚」といいまして、店の名前が違ったのです。
どうしてかもめ亭に変わったかといいますと、その後、「人魚亭」という店の名前を
使った作品を書いてしまったからでした。あの作品は、この短編から派生した作品です。
ずっと気がかりで、心に残っていた、あの作品を、こうして完成させ、
活字にすることができて、本当によかったと思っています。

でまあ、店の名前がかもめ亭になったのは、うちのサイトのメイン掲示板から
しゃれで借りてきちゃったわけですが、掲示板と本と、
ふたつのかもめ亭があるというのは、不思議なゆらぎを感じて、
なかなか楽しいものです。かもめ亭にしてよかった。
そうそう。本の中でかかっている音楽。
あれは、ご存じの方も多いでしょうが、掲示板の方のかもめ亭で、
「海辺の街の喫茶店でBGMに使うとしたら、どんな曲がいいと思いますか?」
というスレッドをたてて、常連さんたちにきいたものなのです。
あのとき、協力してくださったみなさま、ありがとうございました!
おかげで、場面場面で、素敵な音楽が鳴っています。

収録した作品の中には、今回書き下ろした作品と、昔の作品が混ざっているのですが、
新しいのでいうと、「ねこしまさん」、「万華鏡の庭」あたりが新作です。
昔のは、上記の「かもめ亭」、それに、「水仙姫」、「銀の鏡」、「グリーン先生」などなど。
「水仙姫」と「銀の鏡」は、ほとんど昔のものに手を加えていません。
文章を多少いじったくらい。
変わったパターンとしては、「砂漠の花」。あらすじのみ、昔に作っていたものを、
まったく新しく文章を書いて、完成させました。
「砂漠の花」は、画家の朝倉めぐみさんに気に入っていただけました。

「ねこしまさん」は、世界が怖くなってしまった少女と、寂しい野良猫の話ですが、
この一作は、我ながら、よく書けたなあと、思っています。
とりあえず、この作品で、私がいいたいことはみんな書けました。
構成といいキャラクターといい、思うように書いています。
いい仕事ができたなあ、と思っています。

ところで、「またこういう短編集を…」と、何人かの人にいわれたのですが、
これだけの数の作品を、実に、十年くらいかけて書いたので、
次にまた短編集がでるとしたら、また十年後です…。


虹の物語 平出衛画 佼成出版社刊

(04年12月刊)

お父さんを亡くした女の子が、ひとりで元気になろうとがんばってがんばって、
でもうまくいかなくて、時の流れの中で取り残されそうになっていた時に、
ふとであった「新しい世界」に足を踏み出したことをきっかけに、
立ち直ってゆくお話です。

早い話が、ネットとの出逢いが、彼女をかえてゆくわけですが、
そこには当然、良いこと悪いことがあったりもするわけです。
なにしろそこは、「理想郷」じゃない、人の心の生の部分がある世界ですから。
むき出しの心のやりとりの中で、不意に傷つけられることもある。

例の佐世保の事件のこともあって、ネットは悪いものだととらえる人々も
多くいます。子どもをもつ保護者のみなさまは、とくにそうなのか、
無理ないことと思いますが、たとえば、うちのサイトの子ども用掲示板の
書き込みの数が、一時期はずいぶんと減りました。
「お母さんが掲示板には書きこんじゃいけないって言いました。
私は、泣きながらいやっていったけど、だめなんです。さようなら」
こんな書き込みも、いくつもみました。

たしかに、ネットの世界には、怖い要素もある。
身を守る術を持たない子どもたちにとっては、とくに危ない場所かもしれない。
でも、「ここ」は、無償の善意、匿名の愛がある世界でもあるのです。
その一つの象徴として、「虹の橋」があります。
私のサイトのここにも、ノラのママ様の翻訳による、美しい文章を
おかせていただいていますが、
私はかつて、飼い猫をなくした時、
この、作者未詳のお話に、心慰められました。

今回、物語の中で、「虹の橋」について、紹介させていただいています。
その際、つたないながら、私の文章で翻訳させていただきました。
子どものためにわかりやすく、と考えたので、意訳になっていますし、
原文にはない文章を、付け加えた場所もあります。
私の本を読んで、「虹の橋」を知った方は、ぜひ、原文を味わっていただき
たいと思います(原文は、英語です)。
翻訳するにあたって、風の丘管理組合の博識な友人のみなさまに、
アドバイスをいただき、レベルの高い添削をしていただきました。
ほんと、お世話になりました^^

ネットでの出逢いもさまざまで、トラブルも何かとつきません。
でも、私は「ここ」で、たくさんのよい人と出会い、人間に希望を持つ人々と出会い、
たくさん笑ったり、明日もがんばろうと思ったりしました。
そして私もまた、いろんな人たちに、少しだけ手を差し出したりもしました。
「ここ」で、これからも私は生きていくし、誰かと出会うでしょう。
この、人の心が作り上げた、新しい場所で。希望を持って。
今までのよい出逢いを、お守りみたいにして。


天空のミラクル1〜 そらめ画 ポプラ社刊

(05年4月〜)

あやかしを見る能力と、炎を呼ぶ力を持った少女が、怪異から街を守るお話です。
謎のタロットと、江戸時代のお姫さまの幽霊(主人公の守護霊)が、でてきます。
他にも、さまざまな、妖怪変化や神様などがでてくる予定。

人と違う能力を持っていたばかりに、人の輪の中からはずれようとしていた少女が、
自分が愛した街の中で、居場所を見つけるまでのお話です。
ある意味、風の丘のルルーが現代日本に生きていた場合のようなお話かもしれないし、
アカネヒメの友だちはるひが、孤独な少女だった場合のお話かもしれない。

ところで、主人公の叔父さんは「売れっ子童話作家」、
メインキャラのひとりが、「その担当編集者」だったりするわけですが…

一度、作品の中で、出してみたかった職業だったんです、同業者(笑)。
一度、描いてみたかったんです、うちの業界(笑)。

私のサイトに来る、子ども読者のみなさんの投稿などを拝見していると、
子どもたちがいかに「童話作家」という職業に夢とロマンを感じているのかわかって
いささかてれくさくも、楽しいです。ほのぼのしてしまいます。
私自身は、この世界で十数年働いていて(05年で十二年目かな?)、これで食べて
いますので、実際はそんなに楽しいばかりのことでもないとわかって
います。でも、「夢と浪漫とファンタジー」な部分もたしかにある業界で仕事なんです。
そのへんをね、描きたいと思っています(^-^)
多少の演出は混ぜながらも。

そうそう。タロットは私の趣味なので、今回小道具に使えて嬉しい。
さりげに使っているもうひとつの小道具の、香水も趣味ですので、嬉しい。
なんだかんだで、取材費や資料代は、ほとんどかからないお話なのでした。

 *ちょこっとだけ、二巻の話。「月は迷宮の鏡」ですね。
二巻はですね、これはなんといいますか、夏休みの心地よさみたいなものを
書いてみたかったんです。物語の本をいっぱい読んで、友だちと
勉強会をして、冷たいお菓子とお茶を楽しんで、夏祭り、みたいな。
少しだけ怖いことがあって、少しだけおとなに近づいて。
そういう楽しい時間を、書いてみたかった。
和風ブラッドベリというか(笑)。まあそんなイメージで。

あとですね。作家の趣味としては、昭和の特撮ものテイストを
楽しんでみました。ウルトラシリーズで、夏休みになると、妖怪ネタの話が
数話、続いたではないですか^^?
(と、同じ世代のおとな読者のみなさまに話しかけてみたり^^)。
ああいう感じにしてみたかったんですね。

今回、自分で影響を受けたなあと思っていたのは実は、古いSFで、
「血は異ならず」だったり、ティプトリー・ジュニアだったりしたんですが、
先日、評論家の西本利佳先生に、
「新井素子好きだったでしょう?」とご指摘を受けまして、
ああ、なるほど^^と思いました。
たしかに、おっとりしたところとか、もとちゃんな感じは強いかもしれません。

この第二巻は、うちあわせを、大阪伊丹空港でやったんですよ^^
担当Kさんと画家そらめさんと、作家の私と三人で。
なかなかに楽しかったし、はかどったので、またやりたいです^^


…あと、作者である私は、昔の、ある特撮番組の主題歌を、たまに
口ずさみながら書いていたのですが…
そのタイトルをここにかくと、ある意味ネタバレなので、
内緒にしておきます(笑)。子どもの頃、好きだったあの番組。
エンディングの、石森章太郎先生の絵がきれいでねえ…



コンビニたそがれ堂1〜 名倉靖博画 ポプラ社刊
(06年10月〜)

毎度基本的に、私の書く物語は、私が好きなものでできあがっています。
…いやそれは、作家なら当たり前じゃん?とかいわれてしまいそうですが、
猫なみに好奇心旺盛で、目に映るものすべてにひかれて、
なおかつ、楽天的に明るい側面に視線がひっぱられる私なので、
気がつくと、オタク風に知識が増えて行っていて、
それにともなって、扱う小道具も増えていきます。

…枕が長くなってしまいましたが(笑)、つまり、私は、コンビニとお稲荷さんと桜と
お人形と、テレビを代表とする、家庭にある機械が大好きなんだよ、と。
放送局も好きだし音楽も好き、携帯もパソコンも、猫も星もおでんも好きなのです。
好きなものばかりで構成されたお話を書くのって、すごくすごく楽しい。
きれいな色のモザイクで、絵を作り上げていくような、
そんな気分です。

コンビニたそがれ堂は、風早駅前近辺にあるようですが、
あの界隈は、ほんとに謎のお店ばかり立ち並びます。
まあこういう、善意の魔界みたいなのは、いいですよね。
どのお店も、儲けは考えてないらしいので、よく続くなあとふと
おもいますが、でも、「街の人の笑顔、プライスレス」ですよね^^

…たそがれ堂では、マスターカードで決済ができるんだろうか?
なんてふとおもってしまう私は、そうここのところ、クレジットカードの歴史と銘柄に
興味が向き始めたところです^^;

…カード会社の営業の人の話とか、いずれ書こうかな(笑)
たそがれ堂にあるCATの端末って、どんなのなのかしら^^
いややっぱり、店長のお兄さんが、手でがっしゃん♪なんだろうなあ。
とか想像するところから、お話の種が生まれるわけで^^;
電子マネーは当然使えるんだろうな、新しもの好きの店長だし。
WAONやナナコみたいな、お稲荷さんキャラの電子マネーを、
早速作っていそうな予感です^^
決済したときの端末の音はどんなんでしょうねえ(笑)?

コンビニたそがれ堂1〜 装画 早川司寿乃 ジャイブピュアフル文庫刊
(08年5月〜)

new おとなの読者さんむけ「たそがれ堂」です。
表紙もおとなむけにシックにはんなりしています。
なかみの物語は、児童書版と同じですが、
今回、枚数に余裕があって、難しい表現も多少使えたので、
ゲラの段階で、あちこちかきたしています。
かきたしているのは、主に最初の三つの話で、情景描写中心ですね。
さらりと読むと、どこをたしたか気づかない方も多いかもしれません。
作者としては、前のハードカバー版をさらに練り上げることができたので、
とても満足できる本に仕上がりました。

この文庫版たそがれ堂は、書店員のみなさまにたいへん気に入っていただけて、
いくつかの書店さんでは、ワゴンに乗せて売っていただけたり、
かわいいポップをつけて、一押し、で売っていただけたりと、
なんといいますか、感謝するばかりの愛ある扱いをしていただけて、
2008年秋現在、いまもまだ、好待遇で売っていただけているお店も
あるというお話で…
コンビニのお兄さんに、各書店のみなさまにいいことがあるように
祈っておきなさい、と、よくいってきかせておきます…
みなさま、ありがとうございました。




ふしぎ探偵レミ1〜 森友典子画 ポプラポケット文庫刊
(08年1月からスタート)

ご存じの方にはお待たせしました、の、「ふしぎ探偵レミ」です。
福音館さんの雑誌「おおきなポケット」1999年4月号から、同誌に半年間、
連載していただけた、あの「レミ」が、やっと単行本になりました。
その時の挿絵も、森友さんでした。挿絵画家としての森友さんの
最初のお仕事が、雑誌版レミだったのです。

当時の「おおポケ」は、今と違って、高学年向けのお話も掲載している
本でした。ので、レミの連載もありえたんですよね。
担当T氏と、森友さんと三人で、設定や資料を作り込んで、
短い期間ながらも、充実した連載をさせていただいたのでした。
うちあわせを吉祥寺のインド料理屋さんでしたなあ、なんて、
今も憶えています(笑)。懐かしい。
ちなみに当時は、絵の比重が大きい、絵物語でした。
今回、小説らしく、背景を書きこみ、キャラクターを作り込んでいます。
レミのペットが普通の犬から妖怪に変わったのが、一番大きい変化かも。

レミの世界は、ほんとにできあがっていたので、
なんとか単行本にしたくて、続きも書きたくて、ずっと機会をうかがって
いました。このたび、ポプラ社さんに大歓迎、っていう感じで、
原稿を受けいれていただけて、本当に感謝しています。
続きがかけるのって、ほんとに嬉しい(涙)。
ノリノリの担当さん、Kさんもありがとう♪ いい本にしようね。

そして、福音館、「おおきなポケット」編集部のみなさま、
当時の担当Tさん、ありがとうございました。
レミの連載は、本当に、楽しいお仕事でした。

new レミの二巻三巻について。

これはたしか、以前に、日記にも書きましたけれど、
今回のレミとコスモスの物語は、ミクシィのマイミクさんたちとの
やりとりがベースになってできた物語でした。
私の日記(ごめんなさい、非公開です)に訪れてくださる
マイミクさんたちには、アニメの作画監督さんや、ゲーム業界の
方々、いろんなジャンルの作家さんなどもいらっしゃって、わいわいと、
いつも盛り上がったりしているのですが、
そのやりとりが影響を与えて、無意識の領域が刺激されて、
井戸の奥からくみあげてきて、できあがってきた物語です。

物語を思いつくということは、どこか、曲がり角を曲がることに
似ていて、その道をそちらにいかなかったら、このお話を思いつかなかった
だろうな、この景色を見なかったら、この描写は描けなかったろうな、と
いうことの連続です。
不思議なものだなあと思います。


風早街シリーズについて

「海辺の街」がでてくる本は、みな同じ街(風早市)を舞台にして
います。出版社を股に掛ける、隠れシリーズものなのです。
ずっと未来の話と、過去の話しも、いつかは書いてみたいですね。

昔々、いまのような長編ファンタジーブームが来ると知らなかったころ、
新人作家だったわたしは、でもどうしても大長編が書きたくて、それで、
この方法を思いついたのです。
「一冊一冊は別の本でも、よくみるとシリーズものになるように
本を書けばいいんだ!」
ひそかに、「風早街サーガ」とか呼んでいました…。


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